自己ドローダウン―リスク管理

自己ドローダウン―撤退基準の目安として

 

 自己ドローダウンとは、あるストラテジーを自分自身が利用する中で、資産が最大の時からの下落幅のことを指す。例えば、ある1つのストラテジーで100万円の資金を用いて取引を開始し、1か月後には120万円に増えたが、その後2週間で資産残高が80万円に減ったとする。この場合、自身の資産の最大値とは120万円であるため、自己ドローダウンは40万円である。

 

 自動売買のシステムを利用するうえで、リスク管理の方法の一種である「撤退基準」として、「自己ドローダウンが○○pipの下落幅を発生させたら」というように、自己ドローダウンの幅を撤退の目安として利用する人は少なくない。


 自己ドローダウンの幅の具体的な数値については、トレーダー個人によってさまざまであり、どんな値でもメリット、デメリットがある。したがって、「これが一番だ」という数値はない。とはいえ、撤退の目安として適切ではない自己ドローダウン幅はある。

 

自己ドローダウン幅の数値について

 

 あまりにも許容するべき自己ドローダウンの幅が大きければ、実際に自己ドローダウンを経験して、利用するストラテジーを止めたときの不安やダメージは大きい。たとえば、許容できる自己ドローダウンが2000pipsであるとする。2000pipsについてどういう印象を持つかは、トレーダー個人個人によって多少は異なるが、数値的に大きいことには変わりない。


 実際に一度に、しかも1つのストラテジーで2000pipsのドローダウンを経験してしまうと、手元に残っている資金は多くはないだろう。また、ドローダウンの経験後に再び資産を回復させるにも少なからず時間がかかる。


 さらに、トレーダー自身の精神的な強い不安も感じざるを得ないことであろう。このような負担を味わうことを防ぐ点で、2000pipsは大きすぎる数値である。

 

 また、許容できる自己ドローダウンが過度に小さいことにも問題がある。たとえば、1つのストラテジーで許容できる自己ドローダウンが100pipsであるとする。100pipsという値は決して大きな数値ではなく、相場にトレンドが発生したときには簡単に動いてしまうくらいの幅である。つまり、100pipsくらいの値動きならいつでも一度に、短時間に起こり得るのである。


 したがって、もし許容できる自己ドローダウンが100pipsの場合、ストラテジーが少しでも相場の環境にはずれたらわずかな時間で自己ドローダウンという撤退の基準ラインに達成してしまう。もちろん、ストラテジーの損益成績には多少のドローダウンが存在することから、100pipsくらいのドローダウンを発生させた後にすぐさま利益を伸ばすこともある。


 よって、撤退基準となる自己ドローダウン幅があまりにも小さい点も、良いトレーディング・ルールとは言えない。