自動売買にも行動経済学の罠がある?

 行動経済学とは、人間がどのように経済上の選択や判断を行うのかを研究する学問である。この分野の研究から、人々の多くは、利益が出るとすぐにそれを利食いして収益を確実なものとする一方で、損失が出るとさらなるリスクを取る傾向にあることがわかっている。つまり、「損大利小」の売買の仕方になる場合が多いということである。


 こうした行動経済学による心理を克服し、「損小利大」の原則をトレードで実現する方法として、自動売買、あるいはシステムトレードという手段がある。これにより、直接トレードを行わないことで、売買の判断を第三者が強制的に行う仕組みによって、行動経済学の心理に左右されないトレードを実現することができる。


 しかし、残念ながら自動売買であっても、第三者が判断を下す場面はあくまでも取引のタイミングだけである。どんなロジックのストラテジーを選ぶかや、それらをいつ止めるのかを決めるのは利用者自身であり、人間である。したがって、これらの場面で行動経済学通りの心理に沿って操作してしまうと、結局は「損大利小」の操作になってしまうのだ。


 たとえば、あるストラテジーAを稼働したとする。このロジックで売買を行い、利益が出る結果に2,3回発生した場合には、今後そのストラテジーで損失が出て、せっかく得られた利益を減らしたくないという心理になって、すぐに他のストラテジーと交換してしまう。一方で、損失が5、6回も連続して損失が出た場合には、次のトレードでは利益を回復させることができるだろうという希望的観測をもち、他のロジックのものと入れ替えようとはしない。


 こうした例が、自動売買における行動経済学の原理が働いてしまう場面である。一般的な裁量トレードで「損大利小」の取引スタイルとなって、行動経済学が反映されたトレードになってしまいやすいことはよく知られているが、自動売買についての心理はそれほどではない。だが、いくらシステム化されたトレードであっても、行動経済学の罠があるのことを忘れてはいけない。


 そして、自動売買で収益を稼ぐためには、行動経済学で問題となっている心理を克服し、「損小利大」の原則を貫くことが大切なのではないだろうか。