FX自動売買を利用することに対するデメリットには、どんなものが存在するのだろうか。どれくらい重大な欠点が潜在するのだろうか。そんな、システムトレード特有の残念なマイナスの部分に迫る。
自動取引の決定的な弱点といえば、「必ずしも儲かる保証がない」という点がある。ただし、これは自動売買だけに限った話ではない。投資の分野全体に当てはまる事実である。なので、自動FXソフト特有とは言えない。
欠点は、コストが通常のFX口座よりも高いところである。通常の裁量によるFX取引の場合、手数料コストはスプレッドのみである例が9割を超え、しかもそのスプレッドはとても小さい値になっている。
たとえば、USD/JPYの場合、スプレッドは0.3~0.5銭くらいが平均であり、高くてもせいぜい1.0銭くらいである。その他の通貨ペアに関しても、どんなにマイナーな組み合わせでも数pipsが限度である。
しかし、FX自動売買となると、手数料コストが高い傾向になる。業者や取引プラットフォームの種類によって詳細なコストは異なるが、高いものとなると、USD/JPYでスプレッド4.0銭分くらいの手数料コストがかかる。
コストが安いところでも、2.0銭以上は発生する。したがって、裁量によるFX口座の手数料コストよりも費用が高くなるのが、自動売買に特有ののデメリットである。
スキャルピングなどの数pipsで利益を確定する手法を採る戦略を用いた場合、手数料コストが大きいとかなり不利になる。求める利幅の大きさが小さければ小さいほど、獲得した利益のほとんどがコストとして放出してしまうことになる。
短期売買となれば、スプレッド幅が小さい裁量取引よりもデメリットとなるのは間違いない。そして、FXの自動売買を検討している人で一番懸念している材料は、おそらくこの手数料コストに関することなのではないだろうか。
ひまわり証券のスプレッドと手数料コストの差を例として見てみよう。比較するのは、従来の裁量によるFX取引のための「レギュラー口座」と自動取引の「シストレ口座」の2種類だ。
レギュラー | シストレ | |
ドル/円 | 1銭 | 2銭 |
ユーロ/円 | 3銭 | 4銭 |
ポンド/円 | 6銭 | 7銭 |
豪ドル/円 | 4銭 | 5銭 |
NZドル/円 | 7銭 | 7銭 |
カナダドル/円 | 7銭 | 7銭 |
自動取引の口座である「エコトレFX」の場合は、さらに手数料として上記のスプレッドに加えて1取引=108円が発生する。
スプレッドだけでも通常のFX口座よりも大きい。そこにさらなるコストの費用がかかるのがわかるだろう。自動売買の欠点は、このように手数料コストが高い部分が挙げられるのだ。
小幅に利益を確定して行ってしまうと、自動売買であればコストが利益の大部分を占めることになるのは確かである。
もう1つの欠点は、儲からないようなシグナル(ストラテジー)が多く出回っている点である。プログラム化されたシグナルは、過去の相場の値動きをもとにして制作されている。
つまり、出来上がったシグナルはあくまでも過去の相場で儲かるように作られているだけであって、それがこれからの市場の動きに対応できるかどうかは分からないということだ。
こうしたことから、実際には儲からない成績を出しているものが多い。プラス収支を出しているシグナル数は、世の中に出回っているの中の3分の1以下とも言われている。さらに、安定して収益を伸ばしているのは10%くらいだという専門家もいる。
FXの自動売買で用いられる売買シグナルのほとんどは、実はマイナス損益になっていてまったく儲かっていないのである。この点でも利用者にとっては大きなデメリットである。
安定した利益を手に入れるためには、利用者自身でシグナルの性能を見極める能力を習得し、それを実践して儲かるプログラムだけを選び抜くしかない。加えて、損したときのリスク対策も欠かせない。
実際問題として、FX自動売買は簡単に儲かるようなツールではない。場合によっては、儲けを出すのが難しくなるのがデメリットであることは間違いのない事実ではないだろうか。