1998年の外為法が改正されて以来、日本国内でも個人による外国為替通貨の取引が自由にできるようになった。
これによってFXが急速に普及してきたわけだが、近年は自動売買のプログラムを使った為替取引が人気となっている。
自動売買ならではの特徴としては、裁量取引のように発注するタイミングを見計らうために相場とにらめっこする時間は省けられる点や、常に一定のシグナルに沿って取引を判断することによって感情に左右されないという点が挙げられる。
いずれも、ほとんどの人にとっては大きな利点となっていて、よりFXがやりやすくなる道具である。
FXの自動売買ソフトは世の中に無数に存在し、大きな企業が開発したものから1人の個人が作ったものまでと幅広い。
長年にわたって世界的に広く有名な自動売買ソフトが、Metaquotesという会社が開発したメタトレーダーである。その中でもMT4というバージョンが一番人気であり、多くの利用者を抱えている。
日本国内でも、MT4に対応しているFX業者は複数あり、自動売買の世界ではかなり名が通っているのは間違いない。
ただ、メタトレーダーならでの欠点として、初心者にはまったく向いていないという点が挙げられる。システムトレードには、EA(Expert Advisor)というストラテジーが必要になるが、これは自作するか第三者から購入することが求められる。
無料でダウンロードできる場合も少なくないが、優秀なロジックを手に入れるのであれば、有料のものを購入するしかないのが現状となっている。加えて、稼働する際にも、その導入方法が複雑で、コンピューターの知識に乏しい人には難しいのも確かである。
さらに、取引シグナルは自分のサーバーで直接行う形式となっているため、パソコンの電源を24時間ずっとつけておくか、レンタルサーバーと契約しなければならない。これにより、電気代またはサーバー代が別途かかってしまうという短所を持っている。
一方の、選択型シストレの場合はメタトレーダーのような欠点がない。ストラテジーはソフトを提供している自体に最初から付いている。利用者は、一覧の中から好きなものを選ぶだけで自動売買ができる。
選べるストラテジーの種類の数には制限はなく、無条件に好きなだけ使うことができる。多くの場合、コストに関してもスプレッドだけである。そして、すべての業者において、利用手数料などは一切ない。
パソコンの電源を切った状態でも問題なく、レンタルサーバーはまったく必要ない。したがって、追加的なコストがかかるということはなく、支払うのは提示されたスプレッド、あるいは売買手数料のみである。
こうしたことから、初心者でも簡単に利用できる制度になっているのがわかるだろう。そして、その簡単さから、近年は選択型シストレを導入する会社が増える傾向にある。
ただ、便利な制度となっているため、コスト面ではやや不利な点がある。FX業者側が提示するスプレッド幅の大きさに関しては、通常のFXの一般口座に比べて大きい傾向にある。
例えば、USD/JPYのスプレッドについて、一般口座の多くでは0.3~1.0銭くらいに収まっている例がほとんどである。これに対して、選択型シストレでは2~4銭となっている。
しかも、Tradencyのミラートレーダーをはじめ、スプレッドが非公開となっているタイプのソフトも少なくはない。「非公開」というのは、スプレッドが時間帯や出来高によって変動するという意味である。常に一定ではないので、コストの具体的な金額が把握しにくい。
ただ、固定制にしろ変動制にしろ、一般的なFX口座よりは手数料コストが高めに設定されていることは共通する事実であり間違いない。
このことから、自動売買のソフトの利用代がスプレッドに反映されていることがわかるだろう。こうした事実から、スキャルピング型の手法のように、数銭(pips)の利幅で決済するようなロジックを使うのには向いていない。
なるべく、コスト面で不利となるような戦略をとるストラテジーは避けるべきなのが、コストが高い選択型シストレといえるのではないだろうか。