自動売買における運用利回りの目標として、何%くらいなら現実的に達成することができるのか。また、普通の人ならどれくらいの年利を達成することができるのだろうか。
株式投資などのインカムゲイン型の資産運用における利回りとは、「配当」のことを意味する場合が多い。配当がない外国の通貨へ投資のでは、金利差になるだろう。
しかし、自動売買では、こまめに売買を繰り返すため、そうしたインカムゲインが金融取引の目的ではない。売買差益を狙って、できるだけ「売値-買値」の数値を大きくできるようにして利益を積み重ねていくのが、自動売買の特徴だ。
したがって、システムトレードにおける利回りといえば、1年間にどれくらいの利益を達成できるのかを表す指標となる。当然、1年間シストレに取り組んだことによって、たとえ頑張ったとしても、マイナス損益となることもあり得る。
今回は、3つの段階に分けて、それぞれ解説する。1年間自動売買を利用して、マイナスになってしまった時の状態、ある程度の利益が得られた時、大きな金額の収益が儲かった時の場合において、それぞれどんな時に達成することができるのか。
上級者ほど、大きな数値の利回りを達成できる。システムトレードに精通した人であれば、利益率が高い時にはどんな行動を取り、マイナス決済が続くときにはどういった対策を練ればよいのかを知っているため、それだけ高い運用成績を出せる傾向にある。
「マイナス利回り」とは、年利0%以下の成績のことを意味する。つまり、1年間投資活動に取り組んでも、得られた結果が「損失>利益」となってしまい、自分の願いとは逆に資産が減ってしまったことを表す。
こうしたマイナス損益になるのは、初心者に多い。その理由としては、自動バイビアへの臨み方に問題がある。初心者ならではの方法で、ストラテジーを選び、さらにいい加減なポートフォリオの管理、リスク管理を行う行動によって、好ましくない結果になってしまう。
高い収益性が出るような臨み方をしなければ、もはや確率の「大数の法則」に頼った自動売買となる。さまざまな種類のストラテジーが用意されている選択型シストレであるが、過半数のものは収益性がないものだ。
つまり、そのまま確率論に任せたやり方となれば、自然と勝てないストラテジーを使うことになって、結果としてマイナス利回りという運用成績になる。こうした点から、マイナス利回りを、初心者の多くが出す傾向にあるわけだ。
こちらもまた、比較的初心者である場合が多い。ただ、マイナスの時とは違って、ある程度は戦略がしっかりしている可能性が高い。少なくとも、ストラテジーの選び方、運用の管理のいずれかができていると判断できる。
もちろん、単に運が良くてプラス収支を出せたという場合もあり得る。しかし、毎年毎月安定した収益を出せているのであれば、特に致命的な問題はないだろう。したがって、初心者から中級者へとステップアップできる人であるのが、この利回り10%前後の収益を達成できるグループだ。
今後、ストラテジーの選び方やポートフォリオの運用の仕方などのトレーディングルールを固く守り、さらに適度に改良する技術を身に着けられれば、さらなる高利回りを達成できると考えられる。
自動売買に大きな精力を入れて臨んでいる人というわけではないような普通の人の場合、頑張って達成できるほどの利回りは、50%くらいが上限と考えられる。1年間の運用で元手を1.5倍に増やすのはそう簡単ではない。
しかし、コツを身に着けて工夫を繰り返していけば、決して夢の数字ではない。不可欠なコツとは、これまで説明してきたのと同じく、トレーディングルールを作る技術とそれに従って取引に臨む姿勢である。
中級者くらいのクラスなら、ルール化した手法が身についていて、それを守り抜くことができる人が多い。そして、それは投資においては大切な姿勢だ。そうした姿勢が、常に収益が出る確率が高い状態を維持することにつながる。
そして、利回り30~50%くらいの運用成績をたたき出すために特に重要なのが、常に一貫したストラテジー選び、ポートフォリオ管理を行うことであり、それは「トレーディングルールを厳守」という技術だ。
適当にいい加減に取り組まない姿勢こそが、元手を増やせるか増やせないかを決定づけるカギとなることは間違いないだろう。
1年間に利回り100%を達成できるのは、はっきりいって難易度は高い。上級者でないと手に入れることができないほどの巨大な収益であり、運の要素も多少は入ってくる。
元手をたった1年で2倍に膨らませられる人は、毎日システムトレードに関する研究をしている。各ストラテジーがどのような運用実績について、どんな時に利益が得やすい一方、損失が出やすいのはどんな場合なのか、などの問いを持って分析を日々行っている。
そうした成果によって、他の人々よりも高い運用成績をたたき出せるのだ。こうした自動売買の上級者は、シストレの「プロフェッショナル」と呼べるような存在ではないだろうか。