FXトレードで負けてしまう時の1つには、リスク・コントロールができていない時が当てはまる。リスク・コントロールを行う目的とは、FXで出てしまう損失の許容度を調整し、一定以上の損失が出てしまう結果をを防ぐことである。
以下では、リスク・コントロールができない時の状態と、どうしてリスク・コントロールができなくなるのかの理由について説明していく。
いわゆるスキャルピングと呼ばれる売買手法を用いている場合、ポジションを持つ時間が数分というわずかな時間であるため、損切りのためのストップ・ロス注文を入れない場合が多い。
しかし、相場の予測が外れた時に、心理的になかなか損切りを行うことができず、結果的に損失の額が大きくなって大敗することになるケースが数多い。
ポジションを持った瞬間に損切りのストップ・ロス注文を入れないがために、許容できる損失以上にリスクを取ることになってしまい、しかもそれが現実となってしまうのである。
超短期売買の場合は、エントリーから決済までが短時間ということでリスク管理が行えない人が多いのだ。こういう人は、超短期売買を行うべきではなく、より時間をかけたトレードを行い、きちんとしたリスク・コントロールを行う習慣をつけなければならない。
よって、このように、スキャルピングという超短期売買を行っている時が、リスク・コントロールを上手に実行できないときの1つ目の場合なのである。
利益に対して欲が出ている時や損失を被って負けている時では、非常に感情に左右されやすい状態にある。感情が影響力を高めるのは、ポジションを持っていて手仕舞い時を控えている場合であるのだ。
たとえ、勝てる手法があったとしても、実際にはその手法通りに従った行動を起こすことができなくなり、感情のあるがままに行動してしまう。
手法における適切な利確時の基準に至る前で決済してしまうことや、損切りの基準を超えてポジションを持ち続けてしまうといった例が、この感情通りの行動に当てはまる。この結果、かえって負ける方法を採ることとなってしまうのだ。
感情に左右されている時とは、合理的な判断や行動を行うことが困難になってしまう。そして、感情の言うとおりにおれーどを行うことによって、合理的で適切なリスク・コントロールを行うことができないのである。
トレーディング・ルールとは、トレーダー自身が考えた勝てる可能性が最も大きい手法のことである。たとえ、それが他人が考え出した手法であったとしても、そのトレーディング・ルールを使うと決めるのはトレードを行う本人であり、自分で決めたルール化した手法を使う理由として確かな自信があるからである。
一番合理的なトレードの方法は、トレーディング・ルールに従ってだけFXトレードに取り組むことである。ルール化した手法には、リスク・コントロールの手段も含まれ、それに基づいて行動すること自体がリスクへの対処法でもある。
したがって、このルールを無視することになれば、一番合理的なリスク・コントロールを実行しないこととなり、結果的にリスク・コントロールを行っていないのと同然になるのである。
よって、リスク・コントロールが正しく行えないときの3つ目の場合とは、トレーディング・ルールを無視した行動を行っている時である。
適切なリスク・コントロールを行えないときとは、上の3つの場合であることをわかってもらえたでしょうか? 正しく合理的なリスク・コントロールを行うためには、それら3つのような状態にならないことであり、これらの状態になってはいけない。
損失が出る可能性は、ポジションを持っている以上はどんな場合でも存在し、損失のリスクがゼロの時などは存在しない。適切なリスク・コントロールを行える状況に身を置き、常に、損失が出てしまった時の対処法を考え、その対処法を確実に実行に移す環境を整えなければならないのである。
「資産運用でリスクコントロールができない」シリーズ