
投資対象を原油にする手段として、先物やCFD取引が挙げられる。これらの市場に参加することによって、安値で買って高値で売るという作業を行うことができる。もちろん、空売りもできる。
しかし、多くの個人投資家にとってデメリットとなる要素がいくつか存在する。原油への投資を行う場合、株や外国為替通貨、債券を取引の対象とするときと違って配当や金利がない。
金や銀を取引対象とする場合にも当てはまることであるが、原油へ投資するという過程で得られるインカムゲインがまったくないということになる。このため、原油取引は投資というよりは「投機」になりやすいという性質を持っている。
配当・金利なし
配当や金利によるインカムゲインがないことによって、特に長期的に同一の銘柄を保有し続ける人にはほとんどメリットがない。「バイ・アンド・ホールド」には不適である。
株や為替には配当や金利がついているため、長く銘柄を持ち続けても利益が得られる仕組みになっている。原油投資では、ただ売買差益を狙うしか収益を得る方法はない。
つまり、買ったときの価格を売ったときの価格が下回れば、損失は100%被ることになる。それをカバーする手段は一切ない。
「キャピタルゲインがすべて」といえるのが、原油投資であると考えるのが好ましいだろう。そのために、ファンダメンタルズ分析やチャートを用いたテクニカル分析がかなり重要となるのは間違いない。
投機=ギャンブルか?
ところで、「投機」というのは「ギャンブル」と同一視される場合がかなり多い。ギャンブルとは、勝つ確率も負ける確率も50%となる賭け事を表す言葉であるが、売買差益を狙った投機は、この定義に当てはまりやすいのは確かである。
一攫千金を狙って、原油をはじめとするCFDや先物取引で適当にポジションを持ち始める人がいるが、これはかなりリスクが大きい。投資の指針が間違ったものである。
本来、「投資」とは収益が得られる可能性の高いものに対してお金を費やすことを意味する。しかし、ギャンブルの世界ではただ小さな可能性に賭けるだけであって、期待値を考慮することは皆無だ。
収益の可能性が低ければ、当然投資を行うメリットはない。そうなれば、相対的に損する確率がたかまってしまい、結果的に投資の欠点の部分だけを被ることになる。
原油をはじめ、投資を行う場合は安易にギャンブル的な目的でお金を投じるべきではない。あくまでも、収益が得られる可能性が高いと客観的に判断できた時にだけ資産を投じることが求められる。