金融技術である「フィンテック」の進化によって、私たちの生活は大きく変わろうとしている。物を買ったときのお支払い・決済システムから株式や債券などの投資の分野まで、その恩恵を受けるようになるかもしれない。
株式や債券、為替通貨などの投資商品を格付けしたり、市場マーケットの分析を行うのは、現在はまだ人間によるものが主流である。それが、「フィンテック」の進化によって機械化される可能性が高いとして、今話題の的となっている。
楽して儲かるようにはならない?

投資活動を機械化すれば、投資家自身はもう自分で時間を割いて金融商品の調査やマーケットの動向の分析を行う必要はほとんどなくなるのは確かである。
しかし、機械化した高度なフィンテックを利用すれば自然と利益が今までよりも増して儲かるようになるのかという点に関しては別問題である。
儲かるようにするためには、相当な優秀なプログラムを作らなければならない。ランダム性の要素が含まれる金融市場において、絶対に100%損することのないロジックを製作するのは不可能だろう。
技術の面ではこれまでにはない高度なものであったとしても、マーケットの値動きについていけないプログラムであれば、収益を安定的に稼げるようにはならない。つまり、人間による手動の投資活動の場合と同じだ。
あくまでも、仕組みの面でより便利になるというだけである。費やす時間が少なくなり、投資に参加するのが簡単になるというのが「フィンテック」の進歩によって得られるメリットである。
大損するリスクは依然ある!
「フィンテック」によって便利なソフトが開発されて、機械的に金融商品の売買が行われるようになったとしても、大損するリスクは残ってしまう。
相場の分析そのものは不要になっても、リスク管理は投資家自身で行わなければならない。使っているコンピュータープログラムに異常がないか、定期的に監視しなければならない。また、運用成績の状況を確認することも怠れない。
私たち人間は、手動で取引する現段階ではマーケットの分析などが投資活動の一環となっている。投資技術が進歩して自動化した場合には、その投資活動がプログラムの監視を行う作業に変わる。
損失の可能性というリスクが存在する以上、何もしないで1日を過ごすというのは無理な話であることは間違いない。「楽して儲かる」という発想とは程遠いものだ。